関東花火大会2022中止と復活の真相|3年ぶり開催の明暗を検証

関東花火大会2022中止と復活の真相|3年ぶり開催の明暗を検証

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2022年初頭の段階では、多くの大会関係者が「今夏こその再始動」に向けて水面下の調整を進めていました。しかし、初夏から猛威を振るい始めた変異株(BA.5系統)による感染第7波の急拡大が、その青写真を根底から覆します。この未曾有の局面で浮き彫りになったのが、イベントごとの「空間構造」と「群集コントロール能力」の格差でした。

下町情緒と歴史を誇る隅田川花火大会の中止理由は、まさにその地理的制約にありました。例年100万人近い観客が浅草・向島周辺の狭小な路地に密集する構造上、入場者の検温・消毒や定員制限を設けることは物理的に不可能です。実行委員会は2022年4月の総会において、観客と地域住民の生命・健康を守る観点から3年連続の中止を正式発表しました。警察や消防など関係各所との協議でも、住宅密集地における群集雪崩や事故防止の担保が極めて困難であると判断されたのが真相です。

同様の苦悩を抱えたのが、荒川河川敷で開催されてきた足立の花火の開催状況でした。7月下旬の開催を予定していた足立区は、春先まで開催の可能性を模索していたものの、土手の斜面に不特定多数が押し寄せる無料開放型のスキームでは感染防止ガイドラインの遵守が困難であるとし、5月に断腸の中止を公表しました。

対照的に、開催へと舵を切ったのが「完全管理空間」を構築できた大会です。全席指定席化、事前チケット制、フェンスによる動線分離を徹底できるスタジアムや有料ビーチエリアを持つ主催者だけが、行政や保健所からの承認を勝ち取ることができました。この「管理不能な公共空間」と「統制可能な閉鎖空間」の差異こそが、2022年の開催可否を真っ二つに分けた最大の要因でした。

清水 千尋
著者

清水 千尋

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。