熱心な常連客に支持されていたにもかかわらず、なぜユニオンスポーツ岐阜店は撤退という判断に至ったのでしょうか。その背景には、地方の専門小売店を取り巻く厳しい市場構造の変化があります。
第1の要因は、スポーツ用品市場におけるEC化の急激な進展です。大手メーカーによる公式オンライン直販(D2C)の強化や、大規模ECモールによるポイント還元施策が定着した結果、実店舗でサイズだけを確認してネットの最安値店で購入する「ショールーミング現象」が加速しました。特にサッカースパイクは新作のリリースサイクルが3〜6ヶ月単位と極めて早く、多色・多サイズ展開を維持するための在庫管理コストが単独店舗の経営を圧迫しやすい構造を持っています。
第2の要因は、東海エリアにおける拠点集約による経営効率化です。岐阜から名古屋まではJR快速で約20分という地理的近接性があります。岐阜の実店舗を維持し続ける固定費(賃料・人件費・光熱費)を削減し、圧倒的な在庫量とスタッフを抱える名古屋店へリソースを集中させると同時に、全国対応のオンライン販売へシフトさせた経営判断は、流通ビジネスの観点からは極めて合理的な一手でした。