ネット上では「プーさんは著作権フリーになったから自由に使って稼げる」という極端な誤解が散見されますが、これは法務的に極めて危険な認識です。パブリックドメイン化したのは「1926年のミルンによる原作小説とその挿絵(E・H・シェパード画)」のみであり、ディズニーが独自に生み出した要素は現在も強固な著作権によって守られています。
その最も象徴的な例が、「赤いTシャツを着たプーさん」のデザインです。原作の挿絵におけるプーは基本的に服を着ていない素朴なテディベアの姿をしています(一部のカラー版挿絵に淡いシャツ姿は存在するものの、定着したのはディズニー以降)。1966年にディズニーが制作した短編アニメーション『プーさんと蜂蜜』以降に確立された「鮮やかな赤色の短いTシャツを着たぽっちゃり体型の黄色いクマ」というビジュアルは、ディズニー独自の創作物です。
ホラー映画『プー あくまのくまさん』を注意深く観察すると、作中のプーは赤いTシャツではなく「木こりのようなチェック柄のネルシャツ」を着用し、ディズニー版の愛らしいアニメ調の造形を徹底的に排除した醜悪なマスク姿で作られています。これはディズニー社からの莫大な損害賠償請求を避けるため、法務専門チームが細部までコントロールした計算通りの造形なのです。