1歳前後の子どもに新聞紙を渡すと、大人が驚くほどの集中力を発揮して遊び込みます。この行動の背景にあるのは、「自分の手で周囲の環境を変化させられた」という強烈な自己効力感です。プラスチックのおもちゃとは異なり、新聞紙は握ればクシャッと縮み、引っ張れば軽快な音を立てて裂けます。自分のわずかな力で形状や音が劇的に変わる体験が、赤ちゃんの探求心に火をつけるのです。
保育現場における「1歳児の新聞紙遊びのねらい」としても、主に次の3点が設定されます。
第1に、五感をフルに刺激する感触遊びとしての価値です。カシャカシャという独特の摩擦音、紙のざらつき、ちぎった時の爽快感は、脳に直接的な刺激を与えます。第2に、指先の発達(巧緻性)の促進です。紙をつまんで反対方向に引っ張る「ビリビリ」の動作は、親指と人差し指の独立した動きや、左右の手で異なる運動を協調させる高度な神経伝達を必要とします。
そして第3に、感情の解放とストレス発散が挙げられます。普段は「破いてはダメ」「投げたらダメ」と制約を受けがちな日常生活の中で、新聞紙遊びは「思いきり壊して良い」特別な時間になります。破る、散らかすというダイナミックな行動を通じて、言葉にできないフラストレーションを発散し、精神的な情緒安定をもたらします。