スタジオジブリが公式に言及した場所や、外観・内装の構造が極めて酷似している国内の主要スポットを5つ厳選し、その特徴と現場のリアルな見どころを掘り下げます。
1. 四万温泉・積善館(群馬県):現世と異界を分かつ「赤い橋」と湯治トンネル
群馬県吾妻郡に位置する四万温泉の積善館(せきぜんかん)は、玄関前を流れる新湯川に架かる赤い欄干の「慶雲橋(けいうんばし)」が、作中で千尋がハクに連れられて息を止めて渡った橋の描写と驚くほど一致しています。夜になると暖色の街灯に照らされ、本館の木造建築とともに水面に映り込む光景は息を呑む美しさです。
さらに、本館から山荘へと続く地下通路「浪漫のトンネル」は、千尋の両親が吸い込まれるように歩いていった不思議なトンネルの薄暗い空気感を彷彿とさせます。昭和5年に建てられた「元禄の湯」は国の登録有形文化財であり、アーチ窓から差し込む外光とタイル張りの浴槽が、古き良き日本の湯治文化を今に伝えています。
2. 道後温泉本館(愛媛県):宮崎監督が認めた油屋の立体構造
愛媛県松山市のシンボルである道後温泉本館は、宮崎駿監督が「油屋のメインイメージのひとつ」として直接名前を挙げている代表格です。明治時代に棟梁・坂本又八郎によって建てられた三層楼の複雑に入り組んだ屋根構造、最上階でギヤマンガラスが妖艶に輝く「振鷺閣(しんろかく)」のたたずまいは、油屋のそびえ立つフォルムの基礎となっています。
約5年半におよぶ保存修理工事を経て2024年に全館営業を再開し、2026年現在も創建当時の美しい姿と現代の安全基準を両立した形で来訪者を迎えています。
3. 江戸東京たてもの園(東京都):釜爺のボイラー室と下町の生活空間
東京都小金井市の都立小金井公園内にある野外博物館「江戸東京たてもの園」は、スタジオジブリファンにとって外せない聖地です。スタジオジブリのオフィスに近接しており、制作期間中に宮崎監督やスタッフが幾度となく足を運びました。
園内にある銭湯「子宝湯(こだからゆ)」の豪壮な唐破風屋根や内部の富士山のペンキ絵は油屋の大浴場の原型となり、文具店「武居三省堂(たけいさんしょうどう)」の壁一面に並ぶ細かな引き出し棚は、釜爺が薬草を調合する薬棚の直接のモデルとなったことが公式に記録されています。