読者の多くが抱く最大の疑問は、「なぜ今回の台風6号はこれほど進行速度が遅く、不自然なカーブを描くのか」という点にあります。気象衛星ひまわりの水蒸気画像や上層大気の解析チャートを突き合わせると、その背景には2つの巨大な気象障壁の狭間での膠着が存在します。
第一の要因は、日本の東に居座る太平洋高気圧の張り出しです。通常、夏の台風はこの高気圧の縁を時計回りに沿ってスムーズに北上します。しかし今回は高気圧の西への張り出しが断続的であり、台風の北上を阻む「見えない壁」として機能しました。第二の要因は、大陸から日本海へ抜ける偏西風(上層のジェット気流)の蛇行です。偏西風が平年より北寄りを流れていたため、台風を素早く東へ押し流す「ベルトコンベア」に乗り切れず、時速10〜15キロという自転車並みのスピードに減速してしまいました。
この結果、暖気と寒気のせめぎ合いの中で台風6号 上陸の可能性は刻一刻と変化しています。陸地に直撃せずとも、動きが遅い分だけ特定地域に暖湿流が送り込まれ続け、総降水量が跳ね上がる構造を作り出しています。