インターネット上の飼い主ブログやSNSを検索すると、「パテラの手術をして本当によかった」という感謝の声がある一方で、「手術を受けさせたことを後悔している」「手術前より歩き方が不自然になった」という痛切な告白も見受けられます。
獣医学的なデータにおいて、専門的な技術を持つ獣医師が執刀した場合のパテラ手術の成功率は約90〜95%と非常に高い水準を誇ります。ではなぜ、一部の飼い主は「後悔」という感情を抱くに至るのでしょうか。現場の生の声と医療事故リスクを分析すると、3つの明確な要因が浮かび上がってきます。
第1の要因は、「術後のケージレスト(安静管理)の破綻」です。手術自体が完璧であっても、退院直後に愛犬が自宅でソファから飛び降りたり、興奮して走り回ったりした結果、骨に固定したピンが折れる、またはワイヤーが緩んで再脱臼を引き起こすケースが報告されています。再手術となれば愛犬への身体的負担は倍増し、費用も追加で発生するため、飼い主は激しい自責と後悔に苛まれることになります。
第2の要因は、「術前のインフォームドコンセント不足」です。執刀医から「手術をすれば元通りに走れる」という抽象的な説明しか受けておらず、実際には術後の関節炎による違和感や、リハビリ期間中の歩行のぎこちなさが数か月続く現実に直面し、事前の期待値とのギャップに苦しむパターンです。
第3の要因は、「合併症や再発リスクの発生」です。術部への細菌感染、インプラントに対する拒絶反応、膝蓋骨を支える靭帯の再弛緩などが数パーセントの確率で発生します。これらのリスクをゼロにすることは現在の獣医学でも不可能であり、万が一合併症が起きた際の対応力と保証体制について、執刀医と事前に合意が取れていなかったことが不信感の原因となっています。