現代の組織運営において、多くの管理職が直面しているのが「指示待ち部下の増加」や「心理的距離の広がり」という課題です。権力や肩書きで人を従わせようとするマネジメントは完全に機能不全を起こしています。そうした環境の中で、山本五十六の言葉が放つ鋭い洞察は、まさに特効薬のような気付きを与えてくれます。
まず着目すべきは、「ほめてやらねば」の前に「やってみせ」「させてみせ」という実践のプロセスが徹底して組み込まれている点です。口先だけの指示を嫌い、リーダー自らが背中を見せ、相手に失敗を恐れず挑戦させる余白を与える。その上で承認を与える姿勢は、現代のアジャイル開発や自律型組織の思想と完全に一致します。
さらに後半に登場する「話し合い、耳を傾け」というフレーズは、アクティブリスニング(傾聴)そのものです。階級社会の極致である旧海軍において、上官が部下の声に耳を澄ませ、感謝の念を持って見守るという視点を持っていた事実は、時代を数十年も先取りしていた慧眼と言わざるを得ません。