天然痘とは?人類が唯一根絶した脅威の歴史と現代に潜む再来リスク

天然痘とは?人類が唯一根絶した脅威の歴史と現代に潜む再来リスク

天然痘とは?人類が唯一根絶した脅威の歴史と現代に潜む再来リスクについて専門的な視点から解説いたします。専門家の見解をご覧ください。

Q1:天然痘は本当に自然界から消えたのですか?野生動物から再感染することはありますか?
A1:はい、自然界からは完全に消滅しています。天然痘の病原体である痘瘡ウイルスは「ヒトにのみ感染する」性質を持っていたため、ヒトの間での感染連鎖を断ち切ったことで自然界から一掃されました。野生のネズミやサルなどの動物に潜伏して突然再流行することはありません。現在懸念されているのは、公式保管施設からの流出や、人工的な遺伝子合成によるテロリズムのみです。

Q2:エムポックスにかかった場合、天然痘と同じくらい危険なのですか?
A2:同列の危険度ではありません。エムポックスは天然痘と同じオルソポックスウイルス科ですが、毒性ははるかに低く、致死率も適切な医療支援があれば0.1〜3%程度(系統による)に留まります。また、感染経路も濃厚な皮膚接触が中心であり、天然痘のように空気中を漂う飛沫で次々と爆発感染するケースは稀です。過剰に恐れる必要はありませんが、正しい感染予防策と早期受診が肝要です。

Q3:腕に丸い注射痕がありますが、これは天然痘のワクチン(種痘)ですか?
A3:生まれ年によって判別できます。日本で種痘(天然痘ワクチン)の定期接種が行われていたのは1976年(昭和51年)までです。したがって、1976年以前に生まれた方の肩や腕にある大きな陥没痕は種痘の可能性が高いですが、1977年以降に生まれた方の腕にある複数の小さな点状痕(ハンコ注射痕)は、すべて結核予防のBCGワクチンです。

Q4:生物兵器テロなどで万が一国内にウイルスが侵入した場合、対抗する手段はあるのですか?
A4:対抗手段は確立されています。日本政府は安全性の高い国産第3世代ワクチン「LC16m8」を数千万人分備蓄しています。天然痘ウイルスは潜伏期間が長いため、感染者と接触してから3〜4日以内にワクチンを緊急接種(曝露後接種)すれば、発症を阻止、あるいは重症化を大幅に防ぐことが可能です。さらに、近年では「テコビリマット(TPOXX)」などの有効な抗ウイルス治療薬も開発・配備が進んでいます。

清水 千尋
著者

清水 千尋

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。