かつてベッドタウンや観光中継地点として捉えられがちだった藤沢が、独自のマイクロブルワリー文化の発信拠点へと変貌を遂げている。この地で起きている現象は、日本の酒類製造業における構造転換そのものだ。巨大なプラントで大量生産されるビールから、地域密着型のスモールバッチ(少量生産)へ。消費者の価値観は、明確に「誰が、どこで、どんな想いで造ったか」へとシフトした。
地元の農家と連携して規格外の柑橘を副原料に使ったり、湘南の穏やかな気候に合わせた爽快なレシピを開発したりと、造り手たちのフットワークは驚くほど軽い。全国的なクラフトビール産業の拡大に伴い、藤沢の醸造家たちも独自のアイデンティティを確立。都市近郊でありながら豊かな自然と海を持つ立地が、醸造におけるクリエイティビティを強く刺激している。