東京消防庁の統計を見るまでもなく、車両火災の原因上位には常にライターやスプレー缶が名を連ねる。収集車の回転板がゴミ袋を圧縮した瞬間、パキリと乾いた破壊音が響く。直後、内部に滞留していた可燃性ガスが高圧で噴出し、金属パーツ同士の摩擦火花に引火。瞬時に爆発的な火炎が荷台を包み込む。これが典型的な事故のシナリオだ。
全国火災予防運動の期間中にも繰り返し警鐘が鳴らされているが、被害の大きさは車両の損壊にとどまらない。住宅街の路地で火の手が上がれば、周辺家屋への延焼や道路の遮断など、二次災害の危険が急激に跳ね上がる。現場の清掃員が火傷や粉塵の吸入で搬送される例も少なくない。中身を抜かずに捨てる行為は、単なる分別の不備ではなく、地域社会への現実的な脅威となっている。