教育社会学や家族心理学の視点から見ると、特別支援教育における進路選択では、親子の「心理的バウンダリー(境界線)」が決定的な役割を果たす。保護者が「障害がある我が子を何としても一般企業に就職させたい」という焦燥感に駆られ、子どもの意思やキャパシティを無視して押し付けてしまう場合、入学後に不適応を起こすリスクが極めて高い。
自立とは、親の期待を叶えることではなく、子ども自身が自分のペースで社会と折り合いをつけて生きていく力を育むことだ。専門的な見地から、同校への進学をおすすめできる家庭と慎重になるべき家庭の境界線を明確に提示したい。
同校の進学に向いている生徒・家庭の条件
第一に、「将来働いて自分の給料で生活したい」という生徒自身の意志が芽生えていること。第二に、公共交通機関を使って一人で通学する基礎体力を身につける意欲があること。そして第三に、保護者が学校の指導方針を信頼し、家庭内でも「自分のことは自分でする」という自立習慣を徹底できる家庭だ。
慎重に再検討すべき生徒・家庭の条件
集団行動や長時間の同一作業に対して極度のパニックや強いストレス反応を示してしまう生徒や、指示されることに強い反発を抱くタイプの場合、同校の厳しい職業訓練は逆効果になる恐れがある。また、保護者の体面や就職実績への過度な執着が先行している場合も危険だ。福祉的就労や地域密着型の支援学校で、生徒の自己肯定感を守りながら穏やかにステップアップしていく選択肢を視野に入れるべきである。