唐と和のハイブリッドを語るうえで、弘法大師・空海の存在を避けて通ることはできない。わずか数年の滞在で密教の奥義を究め、長安のサロンを驚嘆させた若き天才僧侶は、帰国後に日本の宗教・芸術・言語体系に計り知れないイノベーションをもたらした。
かつて日中共同製作映画『空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎』が視覚化した長安の栄華と幻想的な世界観は、多くの観客の脳裏に焼き付いている。唐の圧倒的なスケール感と、和が育んだ幽玄な美学。空海が持ち帰った思想の曼荼羅は、現代のデジタルアートやストーリーテリングの源泉としても、いまだ尽きることのないインスピレーションを放ち続けている。