フルーツを使った料理に抵抗感を覚える最大の理由は、「デザートのような甘いお米」を想像してしまう点にあります。市販の甘みの強すぎるりんごをただ米と一緒に煮込んでしまうと、輪郭のぼやけた味になり、失敗体験として記憶に残ってしまいがちです。
本場のイタリア料理におけるりんごのリゾットは、決してスイーツではありません。加熱によって引き出されるりんごの自然なペクチンのとろみ、そして加熱しても残る心地よい酸味を、出汁(ブロード)やお米のデンプン質と乳化させて味わう緻密な計算に基づいています。
脂っぽくなりがちなリゾットの後味をりんごの酸が軽やかに洗い流してくれるため、ひと口ごとに食欲が刺激されます。「食わず嫌いだったが、一度本格的なものを食べて価値観が覆った」と語る食通が多いのも、この絶妙なコントラストが生み出す中毒性に理由があります。