通報をためらう最大の要因として挙げられるのが、「通報したことが対象者に露見し、報復や近隣トラブルに発展しないか」という懸念です。結論から言えば、通報者の身元が福祉事務所から対象者へ漏洩することは原則としてありません。
地方公務員法第34条に定められた守秘義務により、ケースワーカーや福祉事務所の職員が「誰から通報があったか」を対象者に明かす行為は厳罰の対象となります。また、実名を伏せた完全な匿名通報であっても福祉事務所は情報を受け付けています。
ただし、情報提供の内容そのものから「誰が通報したか」を相手に推測されてしまうリスクには注意が必要です。例えば以下のようなケースでは、身元を伏せていても通報者が絞り込まれてしまう恐れがあります。
・「隣室のベランダから見えた」「自室の壁越しに聞こえた会話」など、特定の近隣住民しか知り得ない極めて限定的な状況を記載した場合
・個人的な金銭トラブルや口論の直後に通報を行った場合
・家族やごく親しい知人しか知り得ない非公開の個人情報をそのまま提供した場合
身元バレを防ぐためには、「いつ、どこで、誰が、何をしているか」という客観的事実のみを淡々と伝え、自分と相手の関係性を推測させる主観的な感情や個人的なやり取りを混ぜないことが鉄則です。