すべての始まりは、ひとりのアーティストが放ったポップミュージックの衝撃だった。宇多田ヒカルが1999年にリリースした金字塔的楽曲「Automatic」と「First Love」。時代を象徴するこの2つの名曲からインスピレーションを受け、壮大なひとつの物語として結晶化させたのが本作だ。音楽が持つ強い叙情性が、映像のコマひとつひとつに染み渡っている。
劇中で流れる「First Love」は、単なる背景音楽ではない。主人公たちの記憶を呼び覚ます「鍵」であり、言葉にできない感情を代弁するもうひとりの登場人物とも言える。名曲のメロディが流れた瞬間、視聴者は瞬時に90年代後半の空気へとタイムスリップさせられるのだ。