澤瀉屋の血脈において、市川猿之助と市川猿翁の両名にとって四代目市川段四郎は、単なる肉親を超えた「絶対的な信頼を置く舞台上の相棒」であった。血縁ゆえの妥協は一切なく、互いに極限の芸をぶつけ合うことで澤瀉屋の舞台は異様なまでの緊張感と熱量を帯びた。
「兄が飛翔するとき、弟がその影を支える」と言われたが、段四郎の存在感は決してみゲキの陰に隠れるものではなかった。むしろ彼が画面や舞台の端に立つだけで、その空間全体に奥行きと歴史の重みが生まれた。この独特の存在感こそ、四代目段四郎が唯一無二とされる最大の理由である。