かつて日本のビジネスシーンでは、「睡眠時間を削って働くこと」が一種の美徳として語られる傾向があった。しかし、2020年代半ばにかけて蓄積された神経科学と予防医学のエビデンスが、その古い価値観を打ち砕いた。
睡眠中に脳内の老廃物を洗浄する「グリンパティック系」のメカニズムがより詳細に解明されたことで、十分な睡眠がアルツハイマー病予防やメンタルヘルスの維持、さらには論理的思考力や創造性の向上に直結することが立証されたのだ。「寝る間を惜しんで努力する」行為は、現在では「酒を飲んでハンドルを握るくらい判断力を低下させるリスク行動」として認識され始めている。
夜10時を過ぎたらスマートフォンの通知を完全に遮断し、8時間の高品質な睡眠を確保する。そんな「睡眠ファースト」の生き方が、現代のデキる大人たちのステータスシンボルとなりつつある。