平場の月の結末とあらすじ解説|大人の恋と死因の真相

平場の月の結末とあらすじ解説|大人の恋と死因の真相

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関係を深めていく中で、青木は須藤が抱える決定的な秘密を知ることになります。須藤は大腸がんの手術を受けており、腹部には人工肛門(ストーマ)が造設されていました。若き日の恋愛のような肉体的な美しさではなく、排泄のケアや身体の傷跡といった、最も生々しい現実を共有せざるを得ない状況に直面します。

青木はその事実を受け止め、須藤と生涯を共にしたいと願いますが、須藤の病状は無情にも悪化していきます。がんの再発と転移が判明し、須藤の体力は次第に削られていきました。弱りゆく姿を見せたくないという強がりと、青木に甘えたいという本音の間で激しく揺れ動く須藤。二人は限られた時間の中で、夫婦という形にとらわれない、魂の深い結びつきを確かめ合います。

そして迎える結末――須藤葉子は、大腸がんの進行に伴う多臓器不全・全身衰弱により、息を引き取ります。劇的な奇跡も、運命を覆す特効薬も現れません。人が老い、病に倒れ、この世を去っていくという絶対的な自然の摂理が、静謐な筆致で描き切られます。須藤を失った青木が、一人でアパートのベランダから見上げる月の光。特別なドラマなどない「平場」の人生を、それでも生きていく青木の背中が、読者の涙腺を激しく刺激する幕切れとなりました。

渡辺 美咲
著者

渡辺 美咲

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。