キズパワーパッドをはじめとするハイドロコロイド製剤は、傷口から出る浸出液(滲出液)を保持し、自己治癒力を高める優れた医療材です。しかし、これが火傷において「かえって症状を悪化させる引き金」になる最大の理由は、火傷特有の組織損傷パターンと皮膚常在菌の密閉にあります。
擦り傷や切り傷と異なり、熱によるダメージは受傷直後だけでなく、皮膚の深部へ向かってじわじわと進行します。熱によって壊死した組織や破壊された水疱の底は、細菌にとって格好の増殖培地です。この状態で高い密閉性を持つパッドを貼ってしまうと、皮膚表面のブドウ球菌や緑膿菌などが酸素の少ない環境下で爆発的に増殖します。これが火傷にキズパワーパッドが使えない理由として皮膚科医が強く警鐘を鳴らす根拠です。
また、製品添付文書にも「水ぶくれを伴うやけど」「感染がみられるキズ」への自己判断での使用は禁忌と明記されています。密閉によって熱がこもり、初期の炎症反応をさらに増悪させてしまう物理的リスクも見逃せません。