名門・犬養家の血を引きながらも、安藤和津さんの幼少期は決して平坦なものではありませんでした。母である荻野昌子さんは料亭を経営しており、父・犬養健との間に生まれた和津さんは、いわゆる「非嫡出子(婚外子)」という立場だったのです。
名門・学習院に通いながらも、世間からは冷たい視線を向けられることがあり、自身を「日陰の子」と感じる孤独な少女時代を過ごしました。父の犬養健さんが亡くなったのは彼女が高校生の時であり、正式に認知されたのは父の死の直前でした。名家の令嬢という華麗な表の顔の裏で、幼心に抱えたアイデンティティの揺らぎや心の傷は、のちに彼女が執筆するエッセイの重要な原点となっています。