ライトノベルの金字塔として知られる『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(通称『俺ガイル』)。原作者である渡航氏が描いた独特の人間模様と毒のある台詞回しは、小学館のガガガ文庫から刊行されるや否や、爆発的な支持を集めた。
作品の主要な舞台となった神奈川県鎌倉市は、物語の中で単なる背景にとどまらない強烈なリアリティを放っている。単なる甘い青春学園ラブコメの枠に収まらない、歪で、けれどどこまでも純粋な人間関係の歪みが、由比ヶ浜の風景とともに鮮明に描写された。教室の窓から見える空の色の変化、海沿いの国道を走る風の冷たさ。それらすべてが読者の記憶と重なり合い、現実の街並みに物語の奥行きを与えている。