尊王攘夷運動の精神的支柱を語る上で、長州藩の思想家・吉田松陰の存在は外せない。長州の小さな私塾「松下村塾」で彼が教えたのは、教科書的な学問ではなかった。「国を思う心があれば、身分など関係ない」。この激しい情熱が、地方の若者たちの魂に火をつけた。
松陰自身は、安政の大獄によって若くして処刑された。だが、彼の思想は死後に膨れ上がる。久坂玄瑞や高杉晋作ら弟子たちは、師の遺志を継ぎ、長州藩を尊王攘夷の過激な拠点へと変貌させていった。狂気とも取れる松陰の発想は、旧体制の常識を破砕するための起爆剤となったのだ。