うつみ宮土理さんを語る上で欠かせないのが、おしどり夫婦として国民から愛された夫・愛川欽也さんとの絆です。1978年の結婚以来、公私にわたる最高のパートナーとして歩んできた二人でしたが、2015年4月、愛川さんが肺がんのため80歳で逝去。当時の追悼記者会見でうつみさんが流した涙と、「キンヤがいたから今の私がいる」と語った言葉は、日本中の涙を誘いました。
愛川さんの他界直後、うつみさんは重度のグリーフ(愛する人を失った悲嘆)に陥り、一時は激ヤセと気力減退によって芸能界引退すら囁かれました。しかし、彼女を再び立ち上がらせたのは、2009年に二人の私財を投じて建てた「中目黒キンケロ・シアター」の存在でした。
「キンケロ」の名は、愛川さんの愛称「キンキン」とうつみさんの「ケロンパ」を合体させたもの。愛川さんが「若い演劇人が手軽に使える、質の高い表現の場を」と願って建設したこの劇場を守ることこそが、自身の生きる使命だと気づいたといいます。手記やインタビューでも「劇場に行くと、今でも客席のどこかでキンヤが『お前、頑張ってるな』と笑っている気がする」と語っており、劇場維持にかかる莫大な維持費や運営の重責を背負いながらも、亡き夫への愛を情熱に昇華して劇場運営を牽引しています。