インターネット上の質問掲示板やSNS、当事者の手記を分析すると、風邪に伴う耳の違和感に関して極めて多くの類似した失敗パターンが浮かび上がってきます。
「熱も下がり鼻水も止まったのに、左耳だけ水が入ったような感覚が2週間以上消えない」「自分の声が頭の中でガンガン反響して会話が苦痛」といった訴えを持つ患者の多くは、発症から1週間以上経過してからようやく耳鼻咽喉科の門を叩いています。中には「風邪薬を飲んで寝ていれば治ると思っていたら、病院で鼓膜の奥に水が溜まっていると言われ、完治まで2ヶ月かかった」という手記も少なくありません。
臨床現場の医師が警鐘を鳴らすのは、「風邪の随伴症状としての耳閉感」と「突発性難聴などの内耳障害」の自己誤認です。風邪をひいて免疫力が低下している時期は、内耳の血流障害やウイルス性神経炎を併発しやすいタイミングでもあります。
もし片耳だけ急激に聞こえが悪くなり、同時に高い金属音の耳鳴りやふらつきを伴っている場合、それは風邪による中耳の炎症ではなく、内耳の有毛細胞がダメージを受けている突発性難聴のサインである可能性が高まります。突発性難聴は発症から48時間〜1週間以内に適切な薬物治療を開始しないと、聴力が元に戻らなくなる確率が跳ね上がるタイムリミット付きの疾患です。「風邪のせいだろう」という思い込みによる受診の遅れは、取り返しのつかない後遺症を招きかねません。