ルイ・ブライユが考案した6点点字の仕組みは、情報科学の視点から見ても極めて論理的で美しい構造を持っています。縦3点・横2点の配置は、数学的には「2の6乗=64通り(空白を含む)」の組み合わせを生み出します。このわずか64パターンの中で、アルファベット26文字、数字、句読点、さらには楽譜(点字楽譜)までを完璧に表現する体系を構築したのです。
ブライユの天才性は、アルファベットの配列ルールにも表れています。上段と中段の4点(①②④⑤)だけを使ってまず「a」から「j」の10文字を作り、そこに左下の第3点(③)を加えることで「k」から「t」を、さらに右下の第6点(⑥)を加えることで「u」から「z」をシステマチックに展開しました。この洗練されたルールのおかげで、初学者でも規則性を掴めば極めて短期間で習得できるよう設計されています。
点字を「読む」ことと同時に重要だったのが、点字を「書く」ための道具である点字器の歴史です。ブライユ自身が考案した真鍮製のガイド板と鉄筆(スタイラス)を用いた携帯型点字器から始まり、19世紀末にはタイプライターのように一度に複数キーを押して1文字を打ち込む「点字タイプライター(パーキンス・ブレイラー等)」が開発されました。これにより、筆記速度と複製効率は飛躍的に向上したのです。