「海外の公共放送はどうなっているのか」という視点も欠かせません。実は、世界的に見ても公共放送に完全なスクランブル化を導入している国は極めて稀です。多くの国が異なるアプローチで財源を確保しています。
イギリスの公共放送BBCは、長年「テレビライセンス(受信許可証)制度」を採用しています。テレビを所有する世帯だけでなく、ネット配信サービス「BBC iPlayer」の視聴者にもライセンス購入を義務付けており、未払いには厳しい罰則が科されます。BBCでも将来的なスクランブル化やサブスクリプション移行が議論されていますが、公共性維持の観点から慎重な姿勢が続いています。
ドイツでは2013年に制度を大改革し、テレビの有無にかかわらず「1世帯あたり一律」で徴収する「公共放送負担金制度」へ移行しました。機器を問わず国民全体で公共メディアを支える仕組みです。さらに北欧のスウェーデンやフィンランドでは、受信料そのものを廃止し、所得に応じた「公共サービス税」として国税で徴収する方式を採用しています。
このように、海外公共放送の課金事例を見渡すと、電波に鍵をかけるスクランブル化ではなく、「世帯単位の包括課金」や「税方式」によって安定財源を確保する方向性が世界の主流となっています。