酒の安さだけでこれほどの熱狂は作れない。テーブルの中央で主役を張るのが、皿を埋め尽くす巨大な名物「和田ちゃん唐揚げ」だ。大人の拳ほどもある鶏肉に歯を立てると、衣のクリスピーな破裂音とともに熱々の肉汁が奔流となって溢れ出す。
夜な夜な通い詰める常連たちの間では、独自の味変テクニックが密かに共有されている。ガツンとニンニクと醤油が効いたベースの唐揚げに、卓上のスパイスや別添えのトッピングソースを幾重にも重ねる手法だ。濃厚なマヨネーズやチーズを絡め、ハイボールで一気に流し込むジャンクな背徳感は一度覚えると後戻りできない。サイドメニューのキャベツを敷いて即席の唐揚げ丼仕立てにするなど、自由奔放な食べ方が客席のあちこちで自然発生している。