この店を語る上で避けて通れないエピソードがある。昭和天皇がこよなく愛し、お買い上げの品として度々名前が挙がったという歴史だ。宮内庁御用達といった過剰な看板を誇大に掲げることはないが、その味の確かさは皇室の舌をも唸らせてきた。
華美な装飾は一切ない。贈答用の高級和菓子のような桐箱に入っているわけでもない。薄い紙に包まれた素朴な姿。だが、包みを開けた瞬間に伝わるズッシリとした重みと質感が、本物だけが持つ品格を無言で主張する。舌の肥えた食通から近所のおばあちゃんまで、等しく魅了し続ける理由はそこにある。