SPBSの出版活動を語る上で欠かせないのが、創刊時に世を驚かせたカルチャー誌『ROCKS』の存在である。既成の雑誌フォーマットを軽やかに脱ぎ捨て、文学、アート、ストリートカルチャーを高純度でブレンドした誌面は、当時の東京の空気を鮮やかに切り取ってみせた。さらに、アメリカ現代文学の旗手である翻訳家・柴田元幸氏をはじめとする一流の書き手たちとの協働は、小規模出版の可能性を一気に押し広げた。
メジャーな版元では採算ラインに乗りにくい実験的なエッセイや、個人の熱情が結晶化したリトルプレス・カルチャーメディアの数々。SPBSはそれらを単なる「サブカルチャー」として傍流に追いやるのではなく、主役として堂々と中央のテーブルに据える。その姿勢が、書き手たちにとっても「ここで自分の本を扱ってほしい」と願う憧れの磁場を形成していった。