雪に閉ざされる北海道の冬。かつて「雪国のハンデ」と呼ばれ、白河の関ならぬ津軽海峡を越えられないと諦められていた深紅の優勝旗を、駒大苫小牧はいかにして引き寄せたのか。その背後には、徹底した実戦主義と精神的タフネスを植え付けた香田誉士史監督の存在があった。
ビニールハウスでの猛練習、雪上ノック。厳しい自然環境を逆手に取った足腰の鍛錬は、田中の下半身主導の強固なフォームを形作った。香田監督は技術以上に「心の一球」を説き、妥協を許さぬ姿勢で選手たちを鼓舞し続けた。兵庫県伊丹市から海を渡り、単身北海道の地に飛び込んだ田中にとって、苫小牧での日々は自らを野獣へと研ぎ澄ます鍛錬の場にほかならなかった。