父・純一郎氏が定めた鉄の掟があった。「政治家である間は、子どもたちを実母に会わせない」。それは権力闘争の渦中に家族を巻き込まないための、政治家としての冷徹な覚悟でもあった。母・佳代子氏もまた、息子たちの成長を遠くから見守るしかなく、学校の運動会や卒業式にすら姿を見せることは叶わなかった。
しかし、時の流れは頑なな運命の扉を開く。2008年に純一郎氏が政界を引退したことで、状況は一変する。「もう自分の人生だ。母に会いたいなら会いなさい」。父からの許しを得た孝太郎と進次郎は、ついに実母・宮本佳代子氏との再会へと動き出す。
実に約30年ぶりとなる再会は、涙と温かな抱擁に包まれた。空白の歳月を埋めるように言葉を交わし、長男の孝太郎、次男の進次郎、そして母のもとで育った三男の佳長氏を加えた「3人の兄弟と1人の母」が、ひとつのテーブルを囲んだのである。かつて引き裂かれた家族は、長い歳月を経て、大人の信頼と絆で結ばれた新たな関係を再構築した。