事故物件住みます芸人として知られる松原タニシのブレイクや、映画化もされた著書『事故物件 恐い間取り』のヒット以降、日本のオカルト文化における集合住宅の扱いは大きく変化した。かつて『怪談新耳袋』が描いたような、団地の無機質な廊下や非常階段に現れる日常のひずみとしてのホラー演出は、いまや世界中に消費されている。
NetflixやAmazon Prime Videoなどのグローバル配信プラットフォームでは、ジャパニーズ・ホラーの文脈を汲んだ団地ホラー作品が定期的に配信され、海外の視聴者をも戦慄させている。均質化されたドア、どこまでも続くコンクリートの回廊、隣人の顔が見えにくい構造――団地という空間そのものが持つ不気味の谷が、404号室というシンボリックな記号を通じてフィクションと現実の境界を曖昧にしているのだ。