妻に先立たれ、4人の子どもを抱えながらも父親になりきれない優柔不断な男・阿須田恵一。この難役を生々しい人間味とともに演じ切ったのが長谷川博己だ。不倫に走り、家族の前で狼狽し、自らの弱さに打ちひしがれる姿は、視聴者の強い反発と共感を同時に巻き起こした。
舞台仕込みの確かな発声と、人間のエゴイズムを嫌味なく体現する身体性。本作を契機に長谷川の名は茶の間に浸透し、その後は大河ドラマの主演や映画界を代表する名優へと上り詰めた。情けなさと脆さを抱えた父親像を彼がリアルに演じたからこそ、三田灯という異質な存在の輪郭が際立ったのだ。