単なる教材の影響にとどまらず、人間の生体反応そのものも色覚の形成に関与している。色彩心理学の領域では、情動を揺さぶる文字表現(物語や詩歌など)を読む際に暖色系が連想されやすく、記号や数式といった抽象概念を処理する際には冷色系が適しているとされる。この視覚的アプローチは、近代色彩学の巨匠ヨハネス・イッテンが提唱した「色彩の対比理論」とも見事な合致を見せる。
イッテンの理論によれば、赤は人間の交感神経を刺激して感情的な高ぶりを引き起こす一方、青は副交感神経に働きかけて静寂と冷静な集中をもたらす。この身体的な反応の差が、文系・理系という領域の性質と結びつき、脳内で無意識のカラーマッピングを作り上げるのだ。