楽曲の冒頭、「強者に媚びへつらう僕に 醒めた視線が突き刺さる…」という平井堅の歌い出しから、リスナーは日常の欺瞞を突きつけられます。多くのJ-POPが友情や前向きな愛を歌い上げるなか、本作がテーマに据えたのは、誰もが心の奥底に抱えながら隠し持っている「劣等感」「他者への嫉妬」「善人ぶる偽善性」です。
平井堅が描いた歌詞世界において、「グロテスク」という言葉は外見の異様さを指しているわけではありません。社会的な立場を守るために愛想笑いを浮かべ、裏では他人の不幸を願ってしまうような、人間の精神構造そのもののグロテスクさ(不気味な二面性)を表現しています。
そこに登場する安室奈美恵のパートは、平井堅が演じる「迷いとコンプレックスに塗れた人間」を冷徹に見下ろすかのように、凛とした強さで畳み掛けます。「純粋さ」を盾にして自分を正当化しようとする心理を切り捨てるようなフレーズの応酬は、聴く者に痛烈なカタルシスを与えました。二人の掛け合いは、まさに人間の心の中に同居する「弱さ(平井堅)」と「冷徹な現実(安室奈美恵)」の対話構造そのものと言えます。