抗生剤とは?風邪に効かない真相と途中でやめてはいけない決定的理由

抗生剤とは?風邪に効かない真相と途中でやめてはいけない決定的理由

抗生剤とは?風邪に効かない真相と途中でやめてはいけない決定的理由の背景について、最新情報を基に徹底解説します。

ネットやSNS上で頻繁に議論を呼ぶ「風邪に抗生剤は効かない」という言説ですが、これは医学的に紛れもない事実です。なぜ強い殺菌力を持つ抗生剤が、喉の腫れや熱を伴う風邪に一切効かないのか、その理由は病原体の構造の違いにあります。

いわゆる「一般的な風邪(感冒)」の原因の約80〜90%は、ライノウイルス、コロナウイルス、アデノウイルスなどのウイルスです。抗生剤は、細菌が持つ「細胞壁の合成」を妨害したり、「特有のタンパク質合成」を阻害したりすることで細菌を死滅させます。しかし、ウイルスは細胞壁を持たず、構造そのものが細菌とは根本的に異なります。標的となる構造が存在しないため、いくら強力な抗生剤を投与してもウイルスに対しては完全に無力なのです。

それにもかかわらず、過去の日本の医療現場では「念のため」「二次感染(細菌の重複感染)予防のため」として抗生剤が安易に処方されてきた歴史的背景があります。現在、抗生剤が処方されない理由は、厚生労働省の「抗微生物薬適正使用の手引き」に基づく診療ガイドラインの徹底と、2020年代以降強化された診療報酬上の適正化施策にあります。ウイルス性の風邪に抗生剤を投与することは、治癒を早めないばかりか、副作用のリスクと後述する耐性菌の温床を生むだけであり、処方しないことこそがエビデンスに基づいた誠実な医療判断なのです。

橋本 菜々子
著者

橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。