機内で耳の詰まりや痛みを感じた際、適切なタイミングで圧力を逃がす動作を行うことが重症化を防ぐ鍵となります。状況や年齢に応じた耳抜きの代表的なアプローチは以下の通りです。
最も手軽で安全な方法は、唾液を飲み込む(嚥下運動)ことです。物を飲み込む際、口蓋帆張筋が収縮して一時的に耳管が開放されます。機内では飴を舐めたりガムを噛み続けたりすることで、自然と唾液の分泌量が増え、嚥下回数を増やすことが可能です。また、顎を左右前後に大きく動かす、あるいは大きくあくびをする動作も耳管周辺の筋肉を弛緩させる有効なアプローチとなります。
それでも耳の閉塞感が解消されない場合は、ダイビングでも用いられるバルサルバ法を試すのが効果的です。ただし、やり方を誤ると鼓膜に過度な負担をかけるため、以下の正しい手順を遵守してください。
- 息を軽く吸い込み、鼻の穴を指でしっかりとつまんで塞ぐ。
- 口を固く閉じ、鼻から息を出すような感覚で「フッ」と優しく圧力をかける。
- 耳の奥で「ポン」あるいは「プチッ」と音がしたら直ちに息を止める。
注意点として、力任せに強く息を吹き込むことは絶対に避けてください。過剰な圧力は内耳窓の破裂や内耳炎を引き起こし、深刻な難聴や激しいめまいを招くリスクがあります。また、重い鼻風邪を引いている状態でバルサルバ法を行うと、鼻腔内の細菌やウイルスが耳管を通って中耳へ逆流し、感染性中耳炎を併発する危険性があります。