胃の内壁は、強力な消化液である「胃酸」と、酸から自身の組織を守る「胃粘液」の絶妙なバランス(攻撃因子と防御因子の平衡)によって維持されています。しかし、この均衡が崩れると胃酸が粘膜を直接刺激し、神経終末を刺激することで「チクチク」とした特徴的な痛みを引き起こします。
胃がチクチク痛いストレス原因の根底にあるのは、脳と腸・胃が密接に影響し合う「脳腸相関」です。過剰な心理的プレッシャーや睡眠不足に晒されると、自律神経の交感神経が優位になり、胃粘膜への血流が急激に低下します。血流不足によって粘膜の修復・保護機能が衰えたところへ胃酸が触れることで、微細なびらん(ただれ)が生じ、チクチクとした鋭い不快感が発生する仕組みです。
近年、内視鏡検査を行っても潰瘍などの異常が見当たらないにもかかわらず、慢性的な胃痛や胃もたれが続く機能性ディスペプシア(FD)による胃の不快感を訴える受診者が増加傾向にあります。これは胃の知覚過敏や運動機能不全が原因であり、単なる気のせいではなく治療対象となる疾患です。さらに、若年層から中高年まで見られるピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)感染も、胃粘膜を徐々に萎縮させ、慢性的な炎症とチクチク痛を誘発する重大な要因となっています。