メル画の背景にあったのは、当時のティーン文化を根底から揺さぶったポップカルチャーの潮流だ。漫画家・矢沢あいによる大ヒット作や、その実写化である映画『NANA』が描いた退廃的で切ない世界観は、少女たちの美意識に決定的な影響を与えた。
同時に、西野カナの楽曲に象徴される「会いたいのに会えない」というストレートな恋愛感情の歌詞、そして自らを主人公に見立てて物語に没入する「夢小説」や「ケータイ小説」の文化がメル画と強力に結びついた。自分宛てに届いたかのような架空のメール画像を作成することは、妄想を可視化し、切ない感情を追体験するための切実なセルフプロデュース手法だったのである。