カウンター席に座り、目の前の鉄板から熱気を感じたら、そこはもう職人の聖域だ。観光客が箸を使って皿の上で食べる中、地元民は迷わず小さなコテ(テコ)を手に取る。
鉄板から直接、ハフハフと息を吹きかけながらコテで一口サイズに切り分けて口に運ぶ。これこそが、最後まで冷めずにアツアツの状態で味わうための最良の手段とされる。火傷しそうな熱さと格闘しながら味わうのが、難波スタイルなのだ。
さらに、卓上に置かれたソースやマヨネーズの使い方にも暗黙の流儀が存在する。最初から全量をかけすぎるのは野暮。まずは職人が仕上げたそのままの味を堪能し、後半に「追いソース」や「ドロソース(激辛ソース)」を少しだけ足して味変を楽しむ。この一連の所作こそ、難波の鉄板文化への敬意と言える。