日本の出版業界において、本書が果たした役割は極めて大きい。2003年、新潮社が創刊した「新潮新書」の立ち上げラインナップとして刊行された本作は、瞬く間に450万部を超える記録的なミリオンセラーへと上り詰めた。
当時、敷居が高いと思われていたアカデミックな知識や問いを、市井の人々に通じる言葉で語りかけるスタイルの成功は、その後の新書・教養ブームの決定的な火付け役となった。社会現象と化した「バカの壁」というフレーズは、流行語大賞を獲得するにとどまらず、出版不況と言われ始めた時代の出版業界を大いに活気づけたモンスタータイトルとなったのだ。