蒙驁を評価する上で最大の論点となるのが「凡将か、それとも稀代の名将か」という点です。作中で蒙驁自身は、自らを「特別な才能を持たない凡人」と客観視していました。奇策や変幻自在の戦術を用いるわけではなく、陣形の基本に忠実な「定石通りの戦い方」を徹底するスタイルは、一見すると地味に映ります。
しかし、軍略の定石を完璧に遂行し、大軍を破綻なく前進させ続ける能力は、軍団統率において極めて高度な技術です。さらに特筆すべきは、「危険人物」として周囲から警戒されていた王翦と桓騎を副将として重用し、その実力を100%引き出したマネジメント能力です。
「王になりたいという野心を持つ」と噂された王翦の知略と、「元野盗で残虐極まりない」桓騎の奇策。他者には到底制御できないこの2人を副将に据え、自らは本陣でどっしりと構えて大局を支えました。個性の塊である怪物を束ねて大戦果を挙げさせた統率力と人心掌握術こそ、蒙驁が「真の名将」と呼ばれる所以です。