『DEATH NOTE』ファンの間で現在も熱い議論が交わされている最大のミステリーが、原作最終話(第108話)で日本捜査本部の松田桃太刑事が提示した「ニアのデスノート使用疑惑」です。
松田は事件から1年後、同僚の相沢たちに対して戦慄の仮説を語り始めます。「ニアは、YB倉庫に乗り込む前に、魅上照の名前を本物のノートの切れ端に書き込み、操っていたのではないか?」という疑惑です。
この仮説を裏付ける不自然な状況証拠として、以下の3点が挙げられます。
- 魅上照の不可解な「確認怠慢」:狂信的かつ異常なまでに几帳面だった魅上が、なぜ倉庫突入という最も重要な日に、ノートが本物であるかどうかの試し書きをしなかったのか。操られていたと考えれば辻褄が合う。
- 魅上の不審な死のタイミング:アニメ版では倉庫でペンを胸に突き刺して壮絶な自死を遂げますが、原作では逮捕からわずか10日後に「獄中で発狂死」しています。これはデスノートに「〇月〇日、発狂して死亡」と書かれていたのではないか。
- 証拠ノートの焼却処分:事件直後、ニアは手に入れた2冊のデスノートを調査する間もなく、自身の判断で即座に焼き捨てています。「ノートに魅上の名前を書いた証拠を隠滅するためだった」と考えれば、あまりにも合目的です。
この疑惑に対し、原作者の大場つぐみ氏は公式ガイド『HOW TO READ 13』のインタビューにおいて、「松田の推理は、当たっているかもしれないし、外れているかもしれない。読者の想像に任せたい」という趣旨の発言にとどめています。
しかし、ニアの徹底したプラグマティズム(実利主義)と「勝たなければ意味がない」という信条を鑑みれば、夜神月という人類史上最悪の知能犯を確実に葬り去るため、自ら禁忌のノートを使って魅上の行動を100%縛り付けたとしても何ら不思議ではありません。「キラを倒すために、自らもまたノートの力に手を染めたのか」――この解釈の余白こそが、作品を単なる勧善懲悪で終わらせない深い陰影をもたらしています。