世間が「坊主丸儲け」と信じる最大の論拠が、税金面での優遇措置である。インターネット上でも「お布施に税金がかからないのはなぜか」「宗教法人の非課税理由はずるい」といった批判が定期的に炎上する。しかし、ここには法人と個人を混同した決定的な誤解が存在する。
憲法第20条が保障する「信教の自由」と「政教分離」の原則に基づき、国家が宗教活動の内容に介入して課税することを防ぐ目的で、法人税法上、宗教法人が受け取るお布施、戒名料、祈祷料などの宗教活動収入には法人税が課されない。これらは「対価としての売上」ではなく、信徒からの「自発的な喜捨(寄付)」と法的に位置づけられているためである。
極めて重要な事実は、僧侶個人の給料の仕組みである。宗教法人に入ったお布施は法人の資産であり、住職がそれを私的に使うことは横領にあたる。住職が生活のために寺院から受け取る役員報酬(給与)には、サラリーマンと全く同じ基準で所得税、住民税、社会保険料がしっかりと源泉徴収されている。
さらに、宗教法人が駐車場経営や不動産賃貸、物品販売などの収益事業を行う場合は、通常の営利企業と同様に法人税が課税される(軽減税率が適用される場合もあるが、完全非課税ではない)。寺院の境内地や本堂には固定資産税が免除される特例があるものの、住職個人の居住スペースや私有地にはきっちりと固定資産税が課されている。