炎上から年月が経った現在でも、ネット上では事実と異なる俗説が散見されます。それらの誤認を正すことは、議論を客観的に捉え直す上で欠かせません。
第一の誤解は、「楽曲が発禁(回収)処分になった」という噂です。実際には公式声明通り、CDの出荷停止や音楽ストリーミングサービスからの配信停止措置は一切行われていません。現在でも主要なサブスクリプションサービスで誰でも通常通り試聴可能です。
第二の誤解は、「野田洋次郎氏が右傾化、あるいは特定の政治団体と結託した」という論調です。野田氏の過去から現在に至る言動やインタビュー記事、自身の著書『ラリルレ論』などを丹念に紐解くと、特定の政党や極右思想への共鳴は確認できません。むしろ野田氏は、東日本大震災の復興支援活動や反戦・平和を祈念する楽曲の制作、環境問題へのコミットなど、普遍的なヒューマニズムに基づいた活動を一貫して続けています。
しかし、現在のライブ状況に目を向けると、シビアな現実が横たわっています。2018年のツアー直後を最後に、その後の大規模アリーナツアーやドーム公演、そしてアジア・北米・欧州を巡るワールドツアーにおいて、『HINOMARU』がセットリストに組み込まれることは原則としてなくなりました。
『君の名は。』や『すずめの戸締まり』などの新海誠監督作品を通じて世界的な認知を獲得したRADWIMPSにとって、アジア圏をはじめとするグローバルなファン層への配慮は不可欠です。公式に「封印」を宣言したわけではないものの、観客全員が純粋に音楽を享受できる空間を守るための、極めて現実的かつ苦渋のセトリ選定が行われているのが実情です。