お札を納めた中袋を収めるのが、意匠を凝らした「上包み」です。ここで多くの人が直前になって混乱するのが、裏側の折り返しの上下関係です。このご祝儀袋の上包みの重ね方には、明確な陰陽思想と意味が込められています。
慶事においては、「裏側の下側の折り返しを、上側の折り返しの外側(上)に重ねる」のが絶対の鉄則です。下から上へ折り返しを被せることで、上向きの受け口(ポケット)が形成されます。これには「天から降る幸せを受け止める」「喜びがこぼれ落ちず、上を向いて留まるように」という縁起担ぎの意味が込められています。
これが逆になり、上側の折り返しを外側にして下に垂らす形になると、「悲しみの涙を流し落とす」「不幸が留まらないように受け流す」という意味を持つ弔事の包み方になってしまいます。結婚式会場の受付で裏面を見られた瞬間、どちらの重ね方になっているかで参列者のマナーリテラシーが一目で露呈します。
さらに見逃せないのが、外側を飾る水引の意匠です。結婚祝いにおけるご祝儀袋の水引の種類と結び切りのルールは非常に厳格です。
結婚は「人生で二度と繰り返してはならない、一度きりであってほしい慶事」であるため、端を引っ張っても絶対に解けない「結び切り(むすびきり)」または「あわじ結び(鮑結び)」の水引を用いなければなりません。何度でも解いて結び直せる「蝶結び(花結び)」は、出産祝いや入学祝い、長寿の祝いなど「何度繰り返してもめでたい慶事」にのみ用いるものであり、結婚式に蝶結びを持参するのは重大なマナー違反と見なされます。店頭で購入する際、パッケージに「婚礼用」と明記されているかを必ず確認してください。