貯水率の数字が下がり始めると、市民生活において最も懸念されるのが「夜間断水」や「時間給水」といった物理的な給水制限の再来です。過去、昭和53年の福岡大渇水では約280日間に及ぶ給水制限が敷かれ、市民の生活や産業は大打撃を受けました。
現状の渇水情報と照らし合わせた場合、直ちに市民生活を脅かす給水制限へ突入する可能性は極めて低いとみられます。その根拠は、過去の苦い教訓を経て構築された「渇水に強い都市インフラ」の存在です。
現在、福岡地区水道企業団は筑後川水系からの受水だけでなく、国内最大級の海水淡水化施設である「まみずピア(福岡地区海水淡水化センター)」を常時稼働体制に置いています。日量最大5万立方メートルの真水を安定供給できるバックアップ機能があるため、たとえ江川ダムの取水制限が10〜20パーセント程度発動されたとしても、水道管の元圧を絞る「減圧給水」の段階で持ちこたえられる設計になっています。
ただし、干害リスクが高まる農業関係者や、大量の水を使用する製造ラインを抱える産業界への影響は避けられません。取水制限の協議会が立ち上がった段階で、関係自治体は市民へ自主節水を呼びかける広報体制へとシフトします。