アニメ業界関係者やファンの間で長年議論されてきた「大学編がアニメ化しない理由」には、明確な3つの構造的障壁が存在します。単なる人気低迷ではなく、制作方針とメディア展開のタイミングが大きく影響しています。
第一の理由は、京都アニメーションと山田尚子監督が描いた映画版における「完璧な幕引き」にあります。2011年に公開された劇場版『けいおん!』は、梓への卒業ソング『天使にふれたよ!』をクライマックスとして、部活動の青春の終わりをこの上ない美しさで描き切りました。商業的な続編要求よりも、作品としての美学的な完結を優先した判断といえます。
第二の理由は、原作の構成とストックの絶対的不足です。かきふらい先生は連載再開時、唯たちを描く『けいおん! college』(まんがタイムきらら)と、残された中野梓・平沢憂・鈴木純を描く『けいおん! highschool』(まんがタイムきららキャラット)を2誌で同時連載しました。どちらも単行本1巻分で終了したため、テレビシリーズ1クールを構成するには尺が大幅に足りず、アニメ化の企画が通りにくい土台がありました。