ネット上で流布している「食べ放題の裏ワザ」には、医学的・経営学的に見て誤った情報が数多く混ざっています。最大の誤解は「前日の夜から絶食して胃を空っぽにして挑む」という手法です。
飢餓状態でビュッフェに挑むと、急激な血糖値の上昇(グルコーススパイク)が引き起こされ、インスリンが過剰分泌されます。これにより急激な眠気や倦怠感が生じるだけでなく、胃袋が縮んだ状態からいきなり固形物を受け止めるため、消化機能が低下して想定より遥かに早い段階で満腹感を覚える結果になります。プロのフードファイターが試合前に適度な炭水化物と水分で胃を広げる調整を行うことからも、絶食作戦は逆効果です。
また、「高額な牛肉ばかりを食べ続ければ確実に元が取れる」という言説も、人間の消化生理を無視しています。サシの入ったカルビやロースは脂質が極めて高く、消化器系への負担から短時間で満腹中枢が刺激されます。牛肉の原価率が高いことは事実ですが、脂質の過剰摂取は早い段階で箸を止めさせる原因となります。